豊胸手術に興味がある一方で、手術後は「乳がん検診が受けられないかもしれない」というような話を聞いたことがある人は、不安になるかもしれません。ここでは、乳がん検診と豊胸手術の基礎的な部分を解説します。また、豊胸手術をしたとしても乳がん検診が受けられるかについても説明するので、安心して自分の希望にあった豊胸をしましょう。
乳がん検診の基礎知識:検査方法はマンモグラフィーだけではない
乳がんは日本人のライフスタイルの変化により、12人に1人の割合で発症する病気といわれていて、患者数は7万人を超えています。日本人女性の乳がん患者は増加傾向にあり、20代の女性でも発症するリスクがあるので注意が必要です。また、40代後半から50代前半の年代が最も多い年齢層であることが特徴の病気です。そのため、誰にでも乳がんが発症する可能性があるので、常にリスクがあることを忘れないようにしましょう。以前の乳がんの診断方法はしこりが見つかることで発症が確認されていました。しかし、近年はマンモグラフィーの検診を受けると超早期の乳がんが発見できるため、検診が推奨されています。
乳がん検診はしこりを確認するための問診・視触診やマンモグラフィーだけでなく、超音波(エコー)検診などの種類があります。これらの検診方法や診断はそれぞれの特徴、長所・短所があります。そのため、年齢や検診を受ける人の症状にあわせて、複数の検査を組み合わせることで確実な診断を下せるようにしています。
問診・視触診
乳がん検診には問診・視触診という方法があります。まず、問診は検査を受ける人の月経周期や初潮を迎えた年齢、閉経した人であれば閉経した年齢を確認していきます。また、未婚・既婚のどちらか、妊娠や出産した経験があるか、病歴などについても申告します。さらに、家族や近親者に特定の病歴があればその病名、そのほかに自分で気になる症状があれば問診時に医師に伝えるようにしましょう。
視触診は行われないこともありますが、行われる場合であれば、医師が乳房にしこりがないか手で触っていきながら確認します。また、視触診時には乳房や乳首の変形や陥没、分泌物など不自然な状態ではないかも同時にチェックしていきます。視触診は特別な機械や薬品などは使用しないため、体にそれほど負担がかからない方法といえるでしょう。しかし、視触診では大きめのしこりがあれば乳がんが発見できますが、小さなしこりがある場合などは早期発見が難しいです。そのため、視触診だけでなく、それぞれの人にあわせてマンモグラフィーや超音波検査などを組み合わせて検査を行うことが一般的です。
マンモグラフィー(X線検査)
マンモグラフィーはX線撮影を使用した検査方法です。大きな機械で片方の乳房を圧迫したときに、専用のX線でその状態を撮影します。これを両方の乳房に対して行います。マンモグラフィーを利用することで、視触診では見つからなかったごく小さなしこりを発見できる可能性が高いでしょう。また、マンモグラフィーは乳がんの初期にみられる「石灰化」と呼ばれる状態を鮮明に撮影し、早期の乳がんを確認することを容易にします。仮に「石灰化」の状態で発見することができれば、ほぼ確実に治癒が期待できるといわれています。また、定期的にマンモグラフィー検査を行うことで前回の結果と確認できるため、比較がしやすいこともメリットといえるでしょう。
一方で、X線を使用して撮影するために、少量ではあるものの被ばくの心配があります。しかし、被ばく量は飛行機で日本とアメリカの間を移動した程度なので、それほど不安になる必要はないでしょう。ただし、妊娠の可能性のあるときや、妊娠中や授乳中の場合は医師にその旨を伝えておく必要があります。基本的にこれらの場合にはマンモグラフィーの検査はできないでしょう。また、マンモグラフィーの特徴のひとつとして、年齢が若かったり、乳腺が多かったりする女性は、しこりや石灰化の状態が見えにくい場合があります。そのため、超音波検査(エコー検査)の検査を併用することがあります。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査(エコー検査)は超音波を出す機器を乳房の上に乗せて、反射したときに写し出された様子をリアルタイムで画像で表示する方法です。医師がその画像を確認しながら診断をしていくので、検査中に一緒に状態を確認することができるでしょう。超音波検査(エコー検査)はX線を使わないため、被ばくが心配な人や妊娠中の人にとっては検討すべき検査方法です。また、乳腺が多くマンモグラフィーではしこりが見つかりにくい人にも有効な検査方法といえるでしょう。さらに、マンモグラフィーは乳房を圧迫するため、痛みが苦手な人もいます。このような場合でも超音波検査(エコー検査)を選択すれば、安心して検査を受けることができます。
超音波検査(エコー検査)は数ミリメートルほどの小さなしこりを発見できるのがメリットです。一方で、ごく小さな「石灰化」を見つけるのは難しい検査方法であることがデメリットといえるでしょう。また、検査は機器を操作しながらリアルタイムで判断していくため、検査する医師または技師の熟練度合いに依存することがあり、乳房の全体像をマンモグラフィーのように画像で残すことが難しい方法です。
乳がん検診はどのくらいの頻度で受ければいいの?
乳がん検診をどれくらいの頻度で受けるべきか、よくわからない人もいるでしょう。推奨される検診の頻度は年齢により異なります。一般的に20~30代であれば、乳がん検診に行く必要はそれほどありません。ただし、不安なときには月に1度ほどしこりがないかなどセルフチェックを行うようにします。また、超音波検査(エコー検査)を受けてもよいでしょう。さらに、気軽に相談できる婦人科の主治医を見つけておくこともおすすめです。
40代以上になると乳がんを発症する確率が高くなる傾向です。そのため、月に1度はセルフチェックを行うようにしましょう。また、乳がん検診は毎年もしくは1年おきにマンモグラフィー検査の実施を推奨します。しかし、検査する人の状況によっては超音波検査も併用したほうがよいケースもあるでしょう。さらに、親や子ども、姉妹に乳がんを発症した人がいる場合は注意が必要です。年齢を問わず毎年超音波検査(エコー検査)とマンモグラフィーを併用した検査を受けることをおすすめします。また、「40歳以上の女性に対し、2年に1度、問診及びマンモグラフィーによる検診を行う」ことを厚生労働省が各自治体に通知しています。そのため、ほとんどの自治体では2年に1度の頻度で乳がん検診を実施しているため、対象者には検診期間や実施している医療機関についてのお知らせが届くでしょう。検診費用は各自治体によって異なります。
乳がん検診の難易度は豊胸手術の種類によって異なる
乳がん検診にはさまざまな種類がありますが、そのなかでもマンモグラフィーは乳がんを早期発見するために有効な検査方法のひとつです。しかし、豊胸手術をした場合、マンモグラフィーが受けられるのか気になる人もいるでしょう。豊胸手術の方法によりマンモグラフィーが受けやすいかどうかが異なるため、手術を検討しているときにはどの方法が自分にあっているのかを知っておく必要があります。
豊胸手術には、「ヒアルロン酸注入法」「シリコンバッグ式」「脂肪注入法」の3種類の方法があり、それぞれの方法の特徴やマンモグラフィーの受けやすさについてこれから解説します。手術の方法についてもメリットやデメリットがあるので、しっかり確認しておきましょう。
ヒアルロン酸を注入する豊胸手術と乳がん検診
ヒアルロン酸を注入する豊胸手術は、注射器を用いてヒアルロン酸を乳房に注入する方法です。注射なので手術の傷が残らないこと、手術時間が短く施術後の回復が早いこと、費用が比較的安いことなどがメリットとしてあげられます。一方で、デメリットとしては、半年~2年くらいしか豊胸した状態が持続しないことです。また、触ったときに硬いこと、しこりができてしまう可能性があるのもポイントです。
乳腺の密度が高い場合は乳がんが見つかりにくいため、マンモグラフィーと超音波検査(エコー検査)を併用がおすすめです。また、ヒアルロン酸が原因でしこりができてしまったときは、しこりが潰れてしまうリスクがあるため検査時に医師に相談しましょう。
シリコンバッグを挿入する豊胸手術と乳がん検診
豊胸手術でよく知られていて、歴史があるのはシリコンバッグ(シリコンインプラント)をバストに挿入する方法です。シリコンバッグはサイズの種類が豊富なため、できる限りバストアップをしたい人にとっては魅力的な方法です。また、シリコンバッグは取り外しができるので、体に多少負担はかかりますが、サイズが小さすぎたり、大きすぎたりしても入れ替えが可能で修正がしやすいのもメリットといえるでしょう。一方で、デメリットとしては、乳房を触ったときに硬い感じがすること、シリコンバッグ挿入時に胸の周辺に手術の傷が残ってしまうことです。さらに、シリコンバッグは10年前後で取り換えなければなりません。また、破損してしまうリスクがあるので注意が必要です。
シリコンバッグを使った豊胸手術をした場合、マンモグラフィーはシリコンバッグの破損の可能性を考えて検査が受けられない可能性があります。しかし、超音波検査(エコー検査)は受けられます。
脂肪を注入する豊胸手術と乳がん検診
脂肪を注入する豊胸手術は、自分の体から採取した脂肪を注射器を用いて乳房に注入する方法です。脂肪が多いお腹や太ももなどから脂肪を採取するのが一般的です。切開しないので手術の傷が残りません。また、触るととても柔らかく、かつ自然な仕上がりです。一方で、脂肪を吸引した場所が回復するためにある程度の時間が必要で、乳房にしこりができる可能性があります。
この豊胸手術を選択すれば、マンモグラフィーと超音波検査(エコー検査)の両方が受けられます。もし、手術後にしこりができたときは、手術を受けたクリニックに相談しましょう。
豊胸を理由にマンモグラフィーを断られてしまった時は?
シリコンバッグを挿入する豊胸手術を受けた人は、乳がん検診でマンモグラフィー検査ができないことがあります。しかし、「プッシュバッグ」と呼ばれる方法を使えばシリコンバッグが入っていてもマンモグラフィー検査が受けられます。「プッシュバッグ」とは筋肉の上のほうを挟んで表面の乳腺を検査する方法です。この方法は、技師のスキルや知識が高い場合のみ可能なため、実施していている医療機関はそれほど多くありません。また、医療機関が検査によるシリコンバッグの破損リスクを回避したいことも、「プッシュバッグ」を実施している医療機関が少ない理由のひとつです。
マンモグラフィーを確実に受けるには豊胸の種類を選ぶことが重要
ヒアルロン酸注入法やシリコンバッグ式の手術は、マンモグラフィー検査を受けられない可能性があります。脂肪注入法の手術は自然な仕上がりで、マンモグラフィー検査が確実に受けられます。脂肪注入法の手術実績が豊富なのは池田ゆう子クリニックです。開院以来医療事故はゼロ、安全性の高い局所麻酔を行いオペ後にすぐ帰宅できます。脂肪注入法に興味がある人はカウンセリング予約やメールカウンセリングを受けてみましょう。