日本人の死因1位は、「がん」だと言われています。
その中でも乳がんは、女性にとって身近ながんと言えるでしょう。
乳がん治療は、患部を切除する手術が一般的であり、がんが広範囲にわたる場合はバストを摘出することもあります。
しかし、治療することが最優先であっても、女性らしさの象徴であるバストを切除することは肉体的にも、精神的にも大きな負担となります。
そこで今回は、乳房を切除せずに治療する凍結療法とそのメリットについて詳しくご紹介します。
乳がん凍結療法とは?
乳がん治療の標準とされている切除術に代わり、近年注目を浴びているのが凍結療法です。
凍結療法は、局所麻酔を行った後に「プローブ」と呼ばれる細い針をがん組織へ刺し、高圧ガスや液体窒素を送り込みがん細胞を急速に凍らせる方法です。
がん周辺の組織も含め、直径4センチのアイスボールを作り、凍結と融解を2回繰り返します。
そうすることで、細胞膜が壊れがん細胞を死滅させるという仕組みです。
また、がん細胞周辺の末梢血管も損傷するため、がん細胞そのものに栄養が届かず、壊死して増殖ができなくなると言われています。
乳がん凍結療法のメリット
凍結療法では、通常の切除術とは違い乳房にメスを入れないので傷が残らず、術後の痛みや引きつれといった後遺症も残りません。
また、バストの大きさや形はほぼ変化しないので美容面でストレスを感じることもないでしょう。
凍結療法は、局所麻酔で行うため施術時間が約1時間と短く、日帰りも可能です。
乳がんの発症年齢は、仕事や育児などで忙しい40~50代がピークとなっており、日帰りや短期入院で済む凍結療法は、このような患者さんの生活を大きく変えずに治療できるというメリットがあります。
乳がん凍結療法が適用される条件
凍結療法は、とても魅力的な治療法ですが、すべての乳がん患者に適用されるわけではありません。
がん組織を覆うアイスボールは、施術で用いる機械で最大直径4センチまで作ることができます。
がんの取り残しを避けるために、がん組織の周囲1.5センチは凍結しなくてはなりません。
このことから、凍結療法の適応条件は、病変の大きさが1センチ以下で悪性度の低いタイプのがんということになります。
また、凍結療法は、実験的治療法なのでそのことを十分に理解しなくてはなりません。
凍結療法は、他の治療法に比べ体への負担が少ないのが特徴です。
美容面でも、胸に傷が残らずバストラインもほぼ維持できるので安心です。しかし、凍結療法は実験的治療法のため保険適用外です。
そのため主治医ときちんと相談し、適用条件などの詳細を確認しましょう。