豊胸手術でジェル注入を行った人々が、相次いで健康被害を訴えているニュースが話題になっているのをご存知でしょうか?
ジェル注入を使った豊胸手術は、誰でも簡単に受けられるため人気があり、多くのクリニックで行われています。
国内では、約半数の豊胸手術でジェル注入が使われていたという調査結果もあるほど、メジャーな方法です。
今回は、このジェル注入の豊胸手術によって報告されている健康被害について詳しく解説していきます。
ジェル注入の豊胸手術とは
豊胸手術には、主に3つの方法があります。
皮膚を切開してシリコンバッグを挿入する「シリコンインプラント」、自分の体の脂肪を注入する「脂肪注入」、ヒアルロン酸や化学物質などジェル状の物質を注入する「充填剤注入」です。
この3つの中で、充填剤注入による豊胸手術が今回問題になっています。
充填剤注入による豊胸手術は胸の周囲から注射器で充填剤を注入するだけなので、傷跡は残りません。
施術時間が30分程度と短いのも利点で、注入後すぐに帰宅することができます。この手軽さからジェル注入の豊胸手術が大変人気となっていました。
しかし、日本美容外科学会は「充填剤は人体に吸収されないため豊胸手術には使用するべきではない」という見解を発表しています。
ジェル注入による豊胸手術のリスク
ジェル注入による豊胸手術の健康被害は、いろいろな症状が報告されています。
日本美容外科学会が約4000人の形成外科医を対象に行った調査では、回答した132人のうち半数以上の72人が充填剤注入による豊胸手術で合併症を発症した患者を診察した経験があると答えています。
症状としては、しこりなどの異常が現れた人がもっとも多く44%、細菌による感染症が22%、皮膚の変化や変形が8%です。
患者の半数以上は、豊胸手術から5年以上経過してから発症しており、術後の経過観察は長期にわたって行う必要があります。
また、合併症を引き起こした患者に注入されていた充填剤は、「アクアフィリング」が24%ともっとも多く、他にヒアルロン酸とシリコーンオイルがそれぞれ17%となっています。
こういった充填剤の除去手術は、注入するときと反対に大掛かりな手術が必要です。
きちんとリスクを理解していない場合、大変な後悔をしてしまいます。
豊胸手術で健康被害を受けないために
世界規模で見てみると豊胸手術は脂肪注入とシリコンインプラントが標準的な方法です。
韓国の学会では、日本でも多く使われている「アクアフィリング」を使用した豊胸手術に対して中止勧告を出しています。
合併症の危険が高いことから日本でも注意喚起を行っていますが、個人輸入などで施術に使用しているケースが多く、健康被害が相次いでいるのが実情です。
日本美容外科学会では、こういった施術を受けた経験のある人は長期間にわたり医療機関で検診を受けるよう促しています。
充填剤を注入するなどの方法は、異物を体内に入れるため合併症などのトラブルを起こしがちです。自分の脂肪を使った豊胸手術ではこういったリスクは低くなります。施術を行う前に担当の医師とリスク面について十分に話し合い、納得したうえで手術を受けるようにしましょう。
手軽に受けられて体への負担も少ないジェル注入の豊胸手術は、大変魅力的ですよね。
しかし、その裏では多くの健康被害が報告されています。充填剤を注入する施術は、手軽ですが大きなリスクと隣り合わせです。
理想の体型を手に入れることだけに気を取られて健康を損なっては後悔しか残りません。
豊胸手術の方法はいろいろありますが、それぞれのメリットやデメリットをきちんと理解し、なるべくリスクの少ない方法を取るようにしましょう。
正しい知識で自分の体を守ることが大切です。