乳がんのリスクは30代の後半にさしかかると一気に高まり、40代から50代でピークを迎えます。30代から40代の女性は、特に乳がんの発症に十分に気をつけておく必要のある世代といえるでしょう。
なぜ40~60代になると乳がん発症リスクが高まるのでしょうか?
今回は、乳がんと年齢の関係や、乳がんに特にかかりやすい年代について解説します。
乳がんと年齢にはどのような関係がある?
乳がんは、女性がかかるがんの中で最も多い病。現在、1年間に約9万人もの女性が乳がんと診断されています。
10代から20代といった若い世代で乳がんを発症するという人はもちろんいますが、かなり少ないといえます。
国立がん研究センターの調査によれば、30代後半になると人口10万人あたり約75名の女性が乳がんを発症するといいます。
発症率は40代になるとさらに高まり、40代後半になると人口10万人あたり250名近くの人が乳がんを発症してしまうのです。
50代や60代になっても乳がんの罹患率は高いもの。
70代や80代になると発症率はやや下がるものの、それでも10万人あたり約150名の女性が乳がんにかかってしまいます。
乳がん発症リスクが高まりやすい生活習慣とは?
多くの自治体では、40歳以上の女性に乳がん検診クーポンを送付していますが、これは乳がんの発症率が40代から跳ね上がるためです。
乳がんの原因については、喫煙や飲酒の習慣、肥満といった要因が指摘されています。
また、初経が早かった女性や閉経が遅い女性ほど乳がん発症リスクは高まるという説も。
さらに、乳がんの発症には遺伝的な要素も大きく関係すると考えられています。
しかし、こういった要因をもたない女性であっても乳がんになることはもちろんあるもの。
乳がんは成人女性なら誰がかかってもおかしくない病なので、十分に気をつけておく必要があります。
妊娠出産の経験の有無が発症に影響する?
最近では女性の社会進出が進み、妊娠や出産を経験しない女性も増えてきました。
こういった女性は、妊娠出産をした女性よりも生涯の月経の回数が多くなるため、女性ホルモンの分泌量も増えるもの。
女性ホルモンのエストロゲンには乳がんのがん細胞を増殖させてしまう働きがあります。
月経回数が増えて女性ホルモンの分泌量も増加することにより、乳がんの発症率が上がってしまうという可能性は無視できません。
厚生労働省研究班によると、出産経験のない女性は経産婦に比べて乳がん発症リスクが2倍程度高まるのだといいます。
しかし、乳がんを発症する原因はまだまだ正確には解明されていません。
40代から60代や70代といった年代の女性に乳がんが増えている原因については、現在もさらなる研究が進められています。
年齢によって乳がんの発症率は大きく異なり、特に40代を過ぎると罹患リスクは跳ね上がります。
どんな世代であっても油断をせず、定期的なセルフチェックを心がけたいもの。
万一乳がんを発症していても早期ならば十分に対処できます。40歳を過ぎたら、乳がんによるリスクを避けるためにも検診をきちんと受けるようにしたいですね。